常見:失敗から学び、そこからまたはい上がって、最終的にはクライアントも会社も動かした。興味深い。
白崎:私達とお客様って、一見、上下関係があるように見えますが、それは正しい姿じゃないんですよね。互いに肩を組んで課題を解決するビジネスパートナーがあるべき姿なんだと、勉強させていただきました。
あなたは顧客のパートナーになれるか?
常見:営業職の魅力や理想像が見えてきましたね。味の素の金子さんは、どんなときに営業としての成長を感じましたか?
味の素 金子沙織(以下、金子):私は入社3年目に営業としての価値観が変わりました。2年目までは、佐賀と長崎で外食店の営業を担当していましたが、3年目からは大手業務用食品卸の担当を任せられたんですね。その企業では、商品を運ぶトラックの中に味の素だけでなく、ほかのメーカーの食材も入れて、1日30~50軒、配送していました。私はとことん付き合わないと成果を出せないと思って、1カ月間ずっと、そのトラックに同乗して営業をしました。
常見:それはすごい。
金子:そのときに自分の今までの営業のやり方がどれだけ独り善がりだったんだと気付かされました。
常見:具体的にはどんなところが?
金子:それまでは勢いと元気だけで営業していました。でも当時は、お客様がいつ忙しくて、いつなら落ち着いているのかまったく理解していませんでした。要は、お客様に対してまったく思いやりがなかったんですね。
卸の営業の方と集中的に同行して、まずそこに気付きました。それから、むやみやたらに営業活動に出るのではなく、まずは自分の中で仮説をたて、それから実行に移す。頭を使うスタイルに移行しました。営業の面白みに気づいたのはそれからです。
常見:根本から営業のやり方を変えたわけですね。普通はなかなかまねできません。周りの方の金子さんを見る目も変わったのでは?
金子:そうですね、そのお客様とは3年間お付き合いさせていただくことになったんですが、最終的には経営層の方々ともお話させていただけるようになりました。
常見:ちょっと話しながらウルッとしましたね。いい話です。
金子:はい(笑)。お客様と共通の課題を自然と見られるようになったとき、営業としての階段を1段上れたような気がしました。
常見:私、人事系の人だと思われていますが、実は営業畑が長いのです。営業時代、上司からよく「顧客と同じ机で、肩を並べる感覚で仕事しろ」と言われました。それぐらいの距離でお客さんと、同じ方向を向いて仕事ができる営業になれと。顧客のパートナーになる。これぞ営業の醍醐味ですね!
第2回「『本当に優秀な営業』は火傷しそうなほど熱い」はこちら
第3回「『一流の営業』は地味な下積みをバカにしない」はこちら
(撮影:尾形 文繁)
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