一流企業のトップ営業は、ここまで徹底する 有力7社エース座談会 猛者達が語るプロ論

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常見:お客様は、見ていますよね。

河野:野村證券には、創業時から「顧客とともに栄える」という考え方があります。さきほど小野さんもおっしゃっていましたが、やはりお客様と接することで価値観が変化したり、視野が広がることは多いと思います。

常見:バンダイナムコエンターテインメントの白崎さん、営業の醍醐味ってどうでしょう?

バンダイナムコエンターテインメント 白崎正洋●入社7年目。2009年に株式会社バンダイナムコゲームス(現:株式会社バンダイナムコエンターテインメント)に新卒で入社。営業部に配属され、秋葉原地区の法人・店舗を担当。現在は、国内最大手法人を担当

バンダイナムコエンターテインメント白崎正洋(以下、白崎):まず、私の失敗談をお話ししますね。私の部署は、バンダイナムコエンターテインメントから発売するゲームソフトを、どう販売していくか、そのための施策を立案、提案、実行します。1年前から、ある法人を担当していたのですが、とにかく最初は目先の数字ばかりを追いかけていました。当初は数を買ってくださいと勢い任せの提案しかできなかったんですね。

常見:危険な匂いがしますね。

白崎:一時期はお客様との関係も良好ではありませんでした。半年後、私が買っていただいたソフトは在庫過多というツケが回ってきました。当時、週に1〜2回ほど商談の時間をいただいていたのですが、回数が目に見えて減っていきましたね。

常見:それはつらいですね。

白崎:つらかったです。「信用できない」と言われているようなものなので。そこでどうすれば挽回できるか考えたんです。何が悪かったのか、なぜ失敗したのか、これまでの自分を見つめ直した結果、2つの目標が必要だと思ったのです。

常見:どういうことですか?

白崎:会社の数字も達成するし、それと同時にお客様の役にも立とうと思ったんです。今までの提案は会社や自分の都合ばかりを優先していて、そこにお客様に対しての配慮や思いやりはなかったんです。そこで自分や会社の立場よりも、お客様のことをまずは優先しようと行動しました。

常見:よくビジネスでは、「Win−Winの関係」が大事だと言われますが、白崎さんの話を聞くと、それがいかに難しいかわかります。

白崎:営業も人間ですので、目の前の数字を達成することを優先してしまうこともあります。ただそれではだめだと思って、まずは商談のやり方から変えたんです。

「相手の担当者が出世できたらお前の勝ちだ」

白崎:商談の時間は、1回につき1時間ほどいただけるんですが、会社としての提案には15分しか使わず、残りの時間はずっとお客様が、今、何に困っているか、売り場ではどんなアイテムが流行っているのかなどをヒアリングしました。

常見:まずは相手の課題を見つけようと。

白崎:はい。これは昔、上司に言われて印象に残った言葉なんですが、「相手の担当者が出世できたらお前の勝ちだ」と。それを実践しようと思ったんです。お客様に困っていることがあれば、どうぞうちの会社を利用してやってください、そんな気持ちでお客様と接するようにしました。

常見:何か変化はありましたか?

白崎:半年間続けたら、また商談の回数も増えてきましたし、お客様からご提案いただくことも増えました。ただ売るだけの姿勢は間違っていたと気づかされましたね。

常見:入社5〜6年目の営業でもまだまだ成長できるとわかる、いいエピソードですね。

白崎:実はまだ続きがあるんです。今年の4月に会社の組織再編があり、担当するお客様がすべて変わることになりました。上司に「このお客様だけは、まだ提案しきれていないところがあります。だから、もう少しだけやらせてください」と頼んだんです。すると上司も、私の熱意を認めてくれて、あと1年だけ任せていただくことになりました。

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