小野:(苦笑いしつつ)そんなことはありません。たしかに、読者である花嫁さんやカップル、広告主からもご評価をいただいているのはありがたいことです。しかし、ご存知のとおり、少子化の影響もあり結婚する人がどんどん少なくなっています。そんな中で、ブライダルマーケットを活性化させる、「結婚っていいな」と思える社会をつくる、つまり、「幸せな結婚」を増やす。そういう志で取り組まないとならないのです。広告をご掲載いただいて、読者に買って読んでもらって終わりというわけではないのです。
常見:たしかに。『ゼクシィ』は、毎年、ジューンブライドの時期に合わせて結婚シーンを盛り上げるようなCMを流したり、紙面でもユニークな婚姻届を付録でつけたりと、ブライダルマーケットを盛り上げていますね。編集者が仕掛けた企画だけでなく、個々の結婚式場などの広告にも、新しいことをやろうという思いを感じます。これは、営業の努力によるものでしょう。
小野:ありがとうございます。私は全国展開している式場の課題解決のために、単に媒体を提案するだけでなく、市場にない、カスタマーに有益な商品・企画をクライアントと協働して作り出すようなご提案をしています。
提案しておカネをもらうことが怖かった
常見:昨年は社内で通期準MVPにも選ばれたとか。
小野:ありがとうございます。ただ入社前から営業職を希望していたわけではありませんでした。正直配属されてからも、最初はあまりいいイメージを持てなかったのですね。
常見:それはなぜですか?
小野:提案してお金をもらうことが業績逼迫を引き起こしかねないことなんじゃないかと思い、怖かったのです。入社してまだ1年目の頃の私は、「悪いことをしているんじゃないか。いらない商品を押しつけているだけなんじゃないか」と悩みました。
常見:会社の商品を売ることだけが自分の仕事だと思っていた、と。
小野:そうなんです。でも、その迷いがあった時期に、あるクライアントの方から「あなたが提案してくれるという行為そのものが、私たちにとってうれしいことなのです。それに対してお金を出せるかどうかはわからないけれど、あなたが来て一緒に話してくれること自体に価値があるのですよ」とおっしゃっていただき、心の中の霧が晴れたような気がしました。
常見:いい話ですね。
小野:私の仕事は物を売ることだけにあるわけじゃないんだなと気付かされました。広告を売ることだけが仕事ではなく、クライアントの売り上げ、業績を上げること、ひいては広告という場をとおして、カスタマーに新しい価値に気づいてもらうことが自分の仕事なのだと。それが結果的にブライダルマーケットの活性化にもつながります。営業のかかわることができる範囲って思った以上に広いんだなと考え方が変わりましたね。想像以上に広い範囲で多くの人に喜んでもらえる、そこが醍醐味だと思います。
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