ひざが痛くなって歩けなくなる人と治る人の大差 メカニズムを理解せず痛みだけを止めるのは禁物

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「ひざの痛み」といっても、痛みの原因はそれぞれ異なります(写真:C-geo/PIXTA)
人生100年時代を迎え、多くの人がひざの痛みや歩行のトラブルを抱えています。60代から急に増える「変形性膝関節症」という病気は代表例といえるでしょう。
この病気をはじめとするひざの痛みが出た際に、「痛み止め薬」のみで対処したらどうなるか? ひざ関節を専門とする整形外科医の巽一郎氏が警鐘を鳴らします。著書『痛みが消えてずっと歩ける 100年ひざ』から一部抜粋、再構成してお届けします。

「ひざの痛み」に対症療法を続けるとどうなる?

ひざ痛の原因を突き止めることなく、痛み止めという対症療法を続けるとどうなるか、変形性膝関節症の約9割を占める「内側の軟骨」がなくなる例で見ていきましょう。

大腿骨と脛骨の間の隙間がひざ関節です。ここに関節軟骨と半月板があります。

レントゲン写真では、腓骨に近いほうの隙間が「外側ひざ関節」、腓骨から遠いほうが「内側ひざ関節」です。健康な人のひざをレントゲン写真で見ると、外側ひざ関節と内側ひざ関節の隙間は均等で、約10㎜くらいです。

軟骨の成分は7〜8割が水分なので、レントゲン写真には映りません。僕たち医師も、初診ではひざに体重がかかった状態(立位)でレントゲン写真を撮り、大腿骨と脛骨の間の隙間の量を軟骨の量と考え、診察の参考にします。

内側変形性膝関節症の初期の人の場合、ひざのレントゲン写真では内側ひざ関節の隙間がやや狭くなり、内側の軟骨が減ってきているとわかります。これが脚変形の始まりです。

歩行時に、体重は軟骨が減ってきている内側ひざ関節にかかってきます。しかしまだ軟骨は残っていますから、歩いてもあまり痛みはありません。ただし、軟骨に挟まれた半月板は、居場所が狭くなっているので傷つきやすくなっています。このため、初期のひざ痛は内側ひざ関節の「半月板損傷」によることが多いです。

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