「ひざの不調」70代女性の7割が悩む病気の正体 変形性膝関節症の原因と対策を専門医が徹底解説

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60代から急に増えるという「変形性膝関節症」にならないためにできることとは(写真:mits/PIXTA)
人生100年時代を迎え、多くの人がひざの痛みや歩行のトラブルを抱えています。60代から急に増える「変形性膝関節症」という病気が、長くなった「老後」という〝ご褒美時間〞の生活の質を低下させてしまう大きな原因の一つとなっています。
この病気はなぜ起こってしまうのでしょうか? そのメカニズムを知ることが、抜本的な治療や予防につながります。ひざ関節を専門とする整形外科医の巽一郎氏の著書『痛みが消えてずっと歩ける 100年ひざ』から一部抜粋、再構成してお届けします。

70代女性の7割が変形性膝関節症

変形性膝関節症はとても身近な病気で、病院にかかるなどはしていない人も含め、「70代女性の約7割が変形性膝関節症である」という調査結果もあるほど。とくに女性が要介護状態になる原因は、この病気と腰痛、それから認知症がとても多いです。

患者さんにとっては、つらい痛みや、生活のしづらさを経験することになる病気です。しかし、この病気をきっかけに、原因を考え、生活を改善し以前にも増して充実した人生を送る"ターニングポイント"にすることもできます。僕はそのお手伝いをしたくて、まずは変形性膝関節症を正しく知っていただくところから、いつも説明を始めています。

変形性膝関節症は、その9割でひざ関節の内側の軟骨や骨に「変形」が生じるものです。多くの場合、足がO脚に変形し、はじめは立ち上がるときにひざに痛みを感じます。徐々にひざの曲げ伸ばしに不自由さを感じるようになり、やがて歩き出しに限らず、動作中も痛みが出て、歩行が困難になっていきます。

初期のひざの「変形」は、「軟骨の損傷」、俗に「軟骨がすり減った」といわれている状態から始まります。まもなく滑膜(かつまく)の炎症で関節に腫れが生じます。軟骨がすり減って、関節の隙間が狭くなってくると、間に入っていた半月板の損傷も生じてきます。

ひざの痛みや歩きづらさを感じて病院にかかると、多くの場合、レントゲンを撮った後、「歳だから軟骨が減ってきましたね」と言われます。薬物治療(痛み止め)やひざ装具、湿布などを使いながら「様子を見ましょう」「ひざの負担を軽くするため、体重を減らしましょう」「運動をして太ももの筋肉をつけましょう」といった指導を受けるでしょう。

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