「ひざの痛み」に対症療法を続けるとどうなる?
ひざ痛の原因を突き止めることなく、痛み止めという対症療法を続けるとどうなるか、変形性膝関節症の約9割を占める「内側の軟骨」がなくなる例で見ていきましょう。
大腿骨と脛骨の間の隙間がひざ関節です。ここに関節軟骨と半月板があります。
レントゲン写真では、腓骨に近いほうの隙間が「外側ひざ関節」、腓骨から遠いほうが「内側ひざ関節」です。健康な人のひざをレントゲン写真で見ると、外側ひざ関節と内側ひざ関節の隙間は均等で、約10㎜くらいです。
軟骨の成分は7〜8割が水分なので、レントゲン写真には映りません。僕たち医師も、初診ではひざに体重がかかった状態(立位)でレントゲン写真を撮り、大腿骨と脛骨の間の隙間の量を軟骨の量と考え、診察の参考にします。
内側変形性膝関節症の初期の人の場合、ひざのレントゲン写真では内側ひざ関節の隙間がやや狭くなり、内側の軟骨が減ってきているとわかります。これが脚変形の始まりです。
歩行時に、体重は軟骨が減ってきている内側ひざ関節にかかってきます。しかしまだ軟骨は残っていますから、歩いてもあまり痛みはありません。ただし、軟骨に挟まれた半月板は、居場所が狭くなっているので傷つきやすくなっています。このため、初期のひざ痛は内側ひざ関節の「半月板損傷」によることが多いです。
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