ひざ「痛み止め」に頼る人がわかっていない真実 体が自然に治る仕組みを知り原因に向き合おう

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ひざに痛みが出たとき、痛み止めを飲むことがあると思いますが……(写真:Rina/PIXTA)
人生100年時代を迎え、多くの人がひざの痛みや歩行のトラブルを抱えています。60代から急に増える「変形性膝関節症」という病気は代表例といえるでしょう。
この病気をはじめとするひざの痛みが出た際に、「痛み止め薬」で対処することがありますが、それに頼りっきりになってしまうのも良いことではありません。ひざ関節を専門とする整形外科医の巽一郎氏の著書『痛みが消えてずっと歩ける 100年ひざ』から一部抜粋、再構成してお届けします。

からだが自然に治るしくみ

からだが傷んだときに、自分で治す能力が自然治癒力です。自然治癒力、という言葉は なじみの多い人も多いことでしょう。このしくみを正しく知っておくと、その恩恵をきちんと受け取ることができます。からだが自然に治るシステムは、どんなときも同じなので、簡単な例から説明していきましょう。

キャベツの千切りをしていて指を切ってしまったことはありますか?

指から血が出た。さぁ、どうしましょう。まずは、バイ菌が入らないように、よく水で洗ってから反対の手で押さえて止血します。数分で止まればOKですね。

でもすぐにまた血が出てきたらどうしますか? もう一度洗って、よく拭いてから絆創膏(ばんそうこう)で止めますね。数時間で止まればOK(もしも、押さえていても血が止まらないくらいに傷が深い場合は、動脈が切れているので、病院へ行ってくださいね)。

このとき何が起こっているのか。それが自然治癒のシステムすべてをものがたります。

① まず指を切ったら「痛い!」と、知覚神経が脳に、指が切れたことを知らせます。

②脳は、知らせを受け取ると、切れた場所へ血液を送ります。これが炎症の始まりです。

炎症にはケルテスの4徴候といって発赤・疼痛(とうつう)・発熱・腫脹(しゅちょう)があります。またガレノスの5兆候というのは発赤・疼痛・発熱・腫脹と機能障害です。それぞれに意味があって、疼痛は痛いと感じること。指が切れたことと、その場所を脳に知らせる伝達です。発赤と腫脹・発熱は、切れた場所に血液が集まることで起こります。機能障害は治癒が完成するまで動きにくくして、患部の安静を保つために起こります。

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