ひざ「痛み止め」に頼る人がわかっていない真実 体が自然に治る仕組みを知り原因に向き合おう

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③切れた場所(患部)に血が集まると、まず血液の中の血小板が切れた部分に接着因子として張り付いて塞ぎます。

血小板は線維質のように切れた部分を覆って、血液を漏らさないようにします。同時に切れた皮膚も線維でふさいでくれます。切ったあとの指は盛り上がって治りますが、それが線維(ファイバー)です。

④その次に血液の中の白血球が盛り上がった線維(ファイバー・肉芽組織・フィブリン凝固物)を食べると、その近くの組織が再生されます。皮膚ならば皮膚組織が再生、血管内皮細胞なら血管内皮が再生されるのです。

⑤指が切れてから1〜2日間は、患部は盛り上がって、肉芽組織で血が止まっています。 7日たてば盛り上がった肉芽組織もなくなり、何もなかったかのように指が元に戻ります。

「痛み」があるから、「治癒」が始まる

修復が終了するまでは痛みが継続します。それはまだ血液を患部へ送ってほしいからです。でも7日ほどで修復が完了すると、痛みもなくなります。

じつは、からだの修復メカニズムは、骨でも臓器の細胞でもこの経過で治ります。からだじゅうの自然治癒の手順は、みな同じ。骨が折れた場合も、これとまったく同じシステムです。

①骨が折れたら、骨膜にある知覚神経が、「痛い!」と脳に報告する。

② 脳は、「了解!」と血液を患部へ送る。炎症が始まる。

③ 骨の場合は絆創膏ではなく、まず患部を引っ張り、折れた場所がまっすぐ(整復)になるようにして、副木(そえぎ)で固定。副木でグラつく場合はギプスで固定。ギプスでも固定が不十分なら、メスで開きプレートとネジで固定(手術)。

④痛みが継続(折れてるよのサインが脳へ)している間、骨折部に血液が送られる(炎症)。血液中の血小板が患部に接着因子として張り付いて固定。

⑤骨が折れてから2〜3週による肉芽組織の固定は完成。集まった白血球(マクロファージ)が、盛り上がった肉芽組織を食べると、隣と同じ骨組織が再生される。骨折から4〜6週すると、硬い骨でつながる。

いかがでしょう。私たちのからだの修復機能、なんて素晴らしいのでしょうね。

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