言われなき誹謗中傷を受けたときの心の対処法 痛みを和らげるには痛みを受け入れる必要がある
矢面に立たされることが多いリーダーは、言われなき誹謗中傷を受けて苦しむことがあります。グロービス経営大学院教授の若杉忠弘氏は、「傷ついたときに痛みに抵抗するとかえって痛みが増幅する。自分自身で心身を整える“セルフ・コンパッション”で対応することで痛みを和らげることができる」と言います。Googleも注目するセルフ・コンパッションを日本で広める若杉氏が、心が傷ついたときの対処法について解説します。
※本稿は若杉忠弘著『すぐれたリーダーほど自分にやさしい』から一部抜粋・再構成したものです。
心に矢が刺さったときには
次の逸話を読んで、みなさんはどう思われるでしょうか。
ある人が毒矢に射られました。すぐに毒が回り始めています。
医者が駆けつけ、命を救おうと、毒矢を抜こうとします。しかし、その人はこう言います。
「いや、待て。この矢はどこから飛んできたのか。だれが矢を私に射ったのか。その人はどんな人なのか。それがわかるまでは、この矢を抜くな」
きっと、こう思ったでしょう。
そんなこと言っていないで、矢を抜けばいいのに。
そうなのです。矢をすぐに抜けば、痛みは最小限に抑えることができます。
誰が矢を放ったのか、などと考えていては、痛みは減るどころか毒が回り、ますますつらくなるばかりです。
矢を射られたある人とは、私たちのことを表していると言ったら驚くでしょうか。
もちろん、今の時代、職場で物理的に矢が飛ぶことはありません。しかし、多くの方が、心に矢が刺さったときに、この悲劇とまったく同じことを日々、繰り返しているのです。
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