飼っている動物が病気になったら、動物病院に連れて行きますよね。動物病院には外科、内科、眼科など、さまざまな専門領域の獣医師がいますが、獣医病理医という獣医師がいることを知っていますか?
獣医病理医は直接患者さんと接する機会はあまりありませんが、手術で摘出された患部を顕微鏡で観察して病気の診断をしたり、亡くなった動物を病理解剖して死因を明らかにしたりしている、獣医療や獣医学になくてはならない存在です(ただし動物病院に獣医病理医がいることはまれです)。
この記事では、獣医病理医の中村進一氏がこれまでさまざまな動物の病気や死と向き合ってきた経験を通して、印象的だったエピソードをご紹介します。今回は、ネコの死を巡るお話を、2回に渡ってお届けします(こちらは後編です)。
ネコによかれと思って…
ネコによかれと思って行われる外飼い。
しかし、ネコに家の中と外を自由に出歩かせることが、ネコを思わぬ危険にさらすことがあります。交通事故、異物の誤飲や毒物による中毒、そして感染症……。獣医病理医をしているぼくのところには、痛ましい事故で亡くなったネコの遺体がしばしば持ち込まれます。
あるとき持ち込まれた茶トラの雄ネコは、農薬か除草剤、または何らかの有毒植物による中毒死が疑われました。
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