愛猫を失った男性の「ネコは外が幸せ」という誤解 「快適な縄張り」さえあれば室内でも十分に満足

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外飼いされているネコは、感染症の危険にもさらされています。猫免疫不全ウイルス感染症や猫白血病ウイルス感染症など。そして、ネコが感染するいくつかの病原体は、ネコだけでなく人間にも感染します。

ネコの外飼いには、外に出たネコが人間の住む家に病気や病原体を持ち帰ってくる危険があるということです。

ネコからも狂犬病がうつる

例えば、狂犬病。

その名前から誤解があるかもしれませんが、狂犬病ウイルスはイヌだけでなくネコ、キツネ、アライグマ、コウモリなどすべての哺乳類に感染し、諸外国ではネコでの発生も多く報告されています。人間にも感染し、発症した場合は致命率がほぼ100パーセントとなる恐ろしい感染症です。

アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、全世界で毎年およそ5万9000人が狂犬病で死亡しており、大半の狂犬病はアジアで発生しています。

日本では、行政機関などが野良イヌを積極的に捕獲してきたことから、1957年を最後に国内で狂犬病の報告はありません(国内で最後に狂犬病が見つかったのが、ネコでした)。しかし、グローバル化した社会では、人、物、そして動物の行き来が盛んですから、いま発生していないからといって、今後もずっと発生しないとはかぎりません。

たまたま現在の日本が清浄国というだけで、世界ではいまだメジャーな病気ですから、今後も要注意の感染症です。

2020年には、外国籍の男性がフィリピンからの入国後に日本国内で狂犬病を発症し、その後、入院先の医療機関で亡くなるということがありました。フィリピンで狂犬病のウイルスを保持したイヌにかまれ、狂犬病に感染したと推定されています。海外では安易に動物に触れないということも大切です。

トキソプラズマという寄生虫も、ネコから人間に感染する可能性があります。

トキソプラズマに初めて感染したネコは、一定期間、ふん便といっしょにオーシストという状態の寄生虫を排泄(はいせつ)し、このオーシストが口に入れば、ぼくたち人間もトキソプラズマに感染する可能性があります。土がオーシストに汚染されていれば、庭仕事などで感染することがあるわけですね。ネコのふん便を後始末するときにも注意が必要です。

妊娠した女性がトキソプラズマに初めて寄生されると、この寄生虫が胎児にうつり、死産や早産、脳や眼に障害のある先天性トキソプラズマ症の赤ちゃんが生まれることがあります。これも決してあなどってはいけない感染症です。

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