
現代人に肥満が多いのは、消費者に速く、大量のカロリーを摂取させるべく、食品産業が超加工食品を開発したからのようです(写真:freeangle/PIXTA)
食べ過ぎ、買い過ぎ、働き過ぎ、スマホの見過ぎ……。私たち現代人は、「足るを知る」ことが難しくなっている。それは、スロットマシンの設計にも取り入れられた「機会→予測不可能な報酬→迅速な再現性」という、ドーパミン系を刺激する「欠乏ループ」が、商品やサービスなど、ありとあらゆることに取り入れられ、あなたを浪費や依存に駆り立てているからだ。今回、脳に組み込まれた「欠乏ループ」のメカニズムとその対策を示す『満足できない脳: 私たちが「もっと」を求める本当の理由』より、一部抜粋・編集の上、お届けする。
なぜ肥満が増え続けるのか
1970年代までには、足るを知るという人間の能力が根本的に変えられてしまった。
「肥満のパターンを見てみると、人間はこの100年間はほとんど太り続けています」と、肥満と神経科学の研究者で、『脳をだませばやせられる 「つい食べてしまう」をなくす科学的な方法』(野中香方子訳、ダイヤモンド社、2018年)の著者であるステファン・ギエネは言う。
「70、80、90年代、そして今日に至るまで肥満は加速しています。なぜ人間は食べ過ぎるようになったのでしょうか? 諸説ありますが、あきらかに食べ物と関係があると私は考えています」
1990年代後半、ケヴィン・ホールは博士号を取得しようとしていた。喫煙率が下がったため、心血管疾患は1950年代のピークからは減少していた。だが、肥満の増加に伴って数十年前からまたこの病は増加していた。
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