より速く、より多く食べるように設計されている? 痩せられない人が知らない「超加工食品」のヤバさ

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ホールは物理畑出身で、数字、データ、数値には滅法強い。アメリカ国立衛生研究所の研究員という立場で、多額の資金とリソースをもとに厳密に管理された実験を実施し、食べ物が私たちの健康や腹回りに及ぼす影響の核心に踏み込むことができる。実験では被験者を研究室に閉じ込める。とはいえ、倫理的な理由から、閉じ込めてよい期間は限られている。

ホールはこう話していた。「通常、栄養学は、食品に含まれる炭水化物、脂肪、タンパク質、食物繊維、糖、ナトリウム、飽和脂肪といったもろもろの分子について、そしてそうした個々の栄養素が体内でどのように処理されるかについて、さらにそれらの数値が高いのと低いのとではどちらが健康に良いのかについて理解することに重点を置いています」。

ホールの有名な研究には、たとえば、低炭水化物ダイエットと低脂肪ダイエットでは、摂取カロリーが同じである限り、体重減少に差がないことがわかったというものがある。

栄養素の問題ではない?

ところが2010年代初頭、ホールによれば、ブラジルの科学者グループがこれに異議を唱え始めたという。

「私たちは完全に間違っていました。彼らは、食品に含まれる個々の栄養素は重要でないどころか、注目にも値しないと言うのです。食品がどのくらい健康的かは、その加工の程度と目的によって決まる。超加工食品こそが肥満や心血管疾患を引き起こしていると」

「超加工食品」とは一般に、「おもに安価な工業的食物エネルギー源と栄養素に添加物を配合し、一連の加工を施した、自然の食材をほとんど含まないもの」と言い表される。つまり、「ジャンクフード」の科学的婉曲表現だ。

当初、ホールにとってこのブラジルの科学者らの理論は、栄養学の世界に腐るほどあるでたらめな考えの上に、さらにでたらめな考えを積み上げた繰り言にすぎなかった。

熱力学の法則によれば、新鮮なブロッコリーだろうとお菓子のブラウニーだろうとカロリーはカロリーだ。「ですから、初めてその主張を聞いたときはナンセンスだと思いました」

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