大変皮肉なことに、こうした飢餓の作用は、じっさいに飢えているときには有益なのだ。食べ物が手に入りにくかった時代(買い置きが十分にあり、どこででもファストフードが手に入る世の中になるよりずっと前)には、エネルギーを節約し、食べ物を優先するのにこうしたメカニズムが役立っていた。
しかし今日では、こうした欠乏脳の生存メカニズムが不利に働いている。アメリカ人のじつに74%が体重超過か肥満で、減量に苦労しているのはそのためだ。やみくもに「少なく」しようとし、正常な代謝のまま、意気込んでダイエットを始める。そして、急速に体重が減り始めるが、身体がその努力を妨害する。
「欠乏ループ」とリバウンド
欠乏ループは、ある年に減量した人の95%が、結局は体重を戻してしまう理由を説明してくれる。
体重が減り始めると、毎朝体重計が予測不可能な報酬を与えてくれる。体重が減少に向かい、予測不可能に変化するので、ワクワクした気持ちになる。だが、減量が停滞すると数字は予測可能なものになる。
予測不可能な報酬はもう手に入らない。するといら立ち、意欲がなくなる。そして、古い習慣に逆戻りしてしまう。解決策は、ダイエットを続けつつ、欠乏ループに乗れて目標達成に役立つ別の行動を見つけることだ。
たとえば、ウエイトリフティングはどうだろう。体力がつくと、持ち上げられる重量や回数が上昇傾向になり、予測不可能に変化するので、ワクワクするはずだ。
(翻訳:森内薫)
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