人類がギャンブルや酒に依存してしまう理由は、人類の祖先の「食べ物探し」という行動にたどることができる
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現代人がギャンブルにはまったり、酒をやめられない原因は、人類の祖先の「食べ物探し」という行動にたどることができるようです(写真:Peak River/PIXTA)
食べ過ぎ、買い過ぎ、働き過ぎ、スマホの見過ぎ……。私たち現代人は、「足るを知る」ことが難しくなっている。それは、スロットマシンの設計にも取り入れられた「機会→予測不可能な報酬→迅速な再現性」という、ドーパミン系を刺激する「欠乏ループ」が、商品やサービスなど、ありとあらゆることに取り入れられ、あなたを浪費や依存に駆り立てているからだ。今回、脳に組み込まれた「欠乏ループ」のメカニズムとその対策を示す『満足できない脳: 私たちが「もっと」を求める本当の理由』より、一部抜粋・編集の上、お届けする。
ギャンブルのような食べ物探し
人間は、発生するかどうか確信できないときに報酬が発生すると、非常な興奮を感じる。そして、そのために私たちは最適でない決断を下すことになる。
私たちのなかに根づいたこの傾向は、あらゆる種が日々行う重大なギャンブル的行為のおかげで発展した。人間が過去には毎日行っていたが、今は行っていない、「食べ物を見つける」という行為もその一つだ。
人間は食べ物を求めて長距離を移動できるように進化した。その昔は、狩猟や採集をしながら1日に8〜21キロメートルを歩いたり走ったりするのが普通だった。大昔の人間にとってそれは、食料品店でものを買うのと同じ行為だった。
一つ違うのは、食べ物がどこにあるのかまったくわからない場合がしばしばあったことだ。こうして人類の祖先は探索に探索を重ねた。古代におけるこの探索行為は、現代人がスロットマシンをプレイするのと似ている。
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