人類がギャンブルや酒に依存してしまう理由は、人類の祖先の「食べ物探し」という行動にたどることができる

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ドーパミンは、動きの統御もしている。たとえばパーキンソン病の運動障害は、脳の特定の細胞がドーパミンを生成しなくなることから引き起こされる。ドーパミンは、排尿も助けている。そして、食べ物が私たちの消化器系をどのように移動するのかにも影響を与える。

白血球細胞の生成のコントロールを助けてもおり、そのおかげで人体は、私たちを死に至らしめる可能性のあるウイルスの侵入や腫瘍と戦うことができる。ドーパミンはインスリンの調節もし、その結果、代謝と、私たちが食べたものの燃焼を統制する。

もし本当にドーパミンを断(た)ったら、人はすぐに死んでしまうだろう。死因はパーキンソン病、膀胱充満、ウイルス感染、その他のたちの悪い病気などだ。

私たちの日々の行動を左右する公式

行動に関して言えば、ドーパミンは、環境内の特定の条件や手がかりを報酬の獲得と結びつけるのに役立つ。何かが快楽や報酬をもたらすのだと私たちがひとたび学習すると、じっさいにその快楽を受け取っているときではなく、それを追い求めているときや、快楽を手にするのを期待しているときに、まずドーパミンが分泌される。

ドーパミンについてのもっとも一般的な議論のおおかたは、すべての動物が学習し、切望し、その結果どう行動するかをあらわす基本的で観察可能な公式を、神経科学的に説明したものとも言える。その公式とは次のようなものだ。

私たちが何かを行う。もしその行いが報酬をもたらせば、私たちは同様の状況下で同じ行いをする可能性が高くなる。

この公式は私たちの日々の行動を左右する。たとえば、仕事でへとへとになって家に帰り、ワインを一杯飲んだとしよう。その一杯でストレスが軽減されると、私たちの脳は「ああ、これはいい。覚えておこう」というように感じる。

その先またへとへとになって帰宅すると、脳はドーパミンを分泌して、ワインを一杯飲みたいという欲求を引き起こしがちだ。そしてこのプロセスは、非常に深く定着する。

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