飼っている動物が病気になったら、動物病院に連れて行きますよね。動物病院には外科、内科、眼科など、さまざまな専門領域の獣医師がいますが、獣医病理医という獣医師がいることを知っていますか?
獣医病理医は直接患者さんと接する機会はあまりありませんが、手術で摘出された患部を顕微鏡で観察して病気の診断をしたり、亡くなった動物を病理解剖して死因を明らかにしたりしている、獣医療や獣医学になくてはならない存在です(ただし動物病院に獣医病理医がいることはまれです)。
この記事では、獣医病理医の中村進一氏がこれまでさまざまな動物の病気や死と向き合ってきた中で、印象的だったエピソードをご紹介します。
高齢化が進む日本社会では身近な病気であるがん。日常の中でふと「自分や家族ががんになったらどうしよう」と考えてしまうこともありますよね。
病理検査の依頼が多いネコの乳がん
人間と同じように、ネコもしばしばがんになります。ぼくは人の医者ならぬ獣医病理医ですので、今回は、愛猫家にとって家族の一員であるネコのがん――とくに病理検査の依頼が多い「ネコの乳がん」のお話をします。
がんは、正常なコントロールが利かなくなって異常増殖するように変化したがん細胞が、周囲の組織や遠くの臓器に浸潤と転移をしていく悪性の腫瘍のことをいいます。
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