「食欲がだんだんなくなってきて、年のせいかと思って経過観察をしていましたが、そのうち吐血や下痢をするようになりました。もしかしたら胃がんなのではないかと疑いましたが、結局、原因がよくわからないまま、彼女は1カ月後に27歳で亡くなりました」
これは、ぼくのところに遺体とともに送られてきた「依頼書」にあったコメントです。
がんは最も身近にある病気
1981年以降、日本人の死因の第1位は「がん」です。日本人の2人に1人は、一生のうちになんらかのがんに罹るとされていますから、今やがんは私たちの最も身近にある病気です。がんに罹る人・がんで亡くなる日本人は年々増加しており、その大きな理由の1つに高齢化があります。
さて、実をいいますと、冒頭の「依頼書」は人間に関するものではありません。水族館で飼われていたフンボルトペンギンの経過観察の記録です。

















