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ライフ #獣医病理医からみた「動物の話」

死亡した「27歳のペンギン」に生じた異変の正体 動物園の動物たちに起こっている「新たな問題」

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  • 中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家
  • 大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者
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そして、全身をくまなく調べると、胃のほかに肺、肝臓、腎臓、卵巣など全身臓器への転移も確認できました。それぞれの部位にあるがんの大きさや数などから、胃で発生したがんが全身に転移して複数の臓器の働きを妨げ、全身状態が悪化して亡くなったのでしょう。

最初に症状が出た時点で手遅れだったかどうかはわかりません。ただ、飼育下のフンボルトペンギンの胃がんについて根治手術が行われることはまずないですから、いずれは亡くなっていたと思います。

症状を和らげる薬で彼女の苦しみがいくらかでも取りのけていれば……と願うばかりです。

飼育上手な日本の水族館・動物園

意外と知られていませんが、日本の水族館や動物園で多くのフンボルトペンギンが飼育されているのは、日本国内の飼育施設が「ペンギンを飼うのがうまい」からでもあります。

日本の飼育施設が持つペンギンの飼育や繁殖のノウハウは世界トップクラスで、ペンギンが非常に長生きするのです。

ペンギンが長生きしているのは、飼育方法の改善で試行錯誤を重ねてきた、日本の水族館や動物園の方々の、長きにわたる努力の結果でもあるのです。そして、それが高齢化に伴うがんの罹患率や死亡率の上昇につながってしまっているのかもしれないのです。

おたる水族館のフンボルトペンギン(写真:momohana/PIXTA)

水族館や動物園で飼われているのはペンギンだけではありませんから、多くの動物で飼育技術の向上に伴う高齢化問題が発生しています。

例えば、トラやライオンも非常に長生きするようになりましたが、それに伴ってイエネコと同様に腎疾患が増加しています。多くの飼育施設において、人間社会と同様に高齢化をおもな原因とする病気の増加が目立つようになってきています。

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