ペットを「おくりびと」に託した飼い主の深い愛情 「コスメティック剖検」が必要とされている理由

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大事なペットが死んだとき、その死因を知るだけじゃなく、“コスメティック剖検”をお願いしたい――今回はそんなお話です(写真:飼い主さん提供)
「おくりびと」という映画があります。
本木雅弘さんが演じた「納棺師(のうかんし)」は、亡くなった人を棺に納めるにあたり、遺体に化粧などを施して美しく整え、ときには全身の清拭を施して遺族にお返しすることを仕事とする専門職です。
納棺師――おくりびとは人間を対象としていますが、最近は、動物の病気の診断を行うぼくのような獣医病理医も「おくりびと」のようなことをしていることをご存じでしょうか?

「飼っているラットが亡くなったとき、死因を調べてもらいたいのです。“コスメティック剖検(ぼうけん)”ができるなら、ぜひお願いしたいのですが……」

推定2歳のファンシーラットの飼い主さんから、このような相談を受けました。ファンシーラットというのは家畜化されたドブネズミです。

肺炎の影らしきものが見つかった

ドブネズミと聞くと「不衛生」「凶暴」「害獣」といったネガティブな印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、野生のドブネズミとは異なり、管理された環境で交配して生まれるファンシーラットは、通常、人に病気を発症させるような病原体を持っておらず、性格は穏やかで飼い主によく懐きます。さらに、色や模様などのバリエーションも豊富で、近年めきめきと人気が上がってきているペットの1種です。

飼い主さんによると、このラットはあるときから呼吸が荒くなり、動物病院にかかったところ、肺のレントゲン検査で肺炎と思われる影が見つかったとのことでした。ラットの寿命は2~3.5年で、一般的に高齢になると肺炎を起こしやすくなることが知られています。

【写真で見る(8枚)】飼い主さんが筆者にコスメティック剖検を依頼した、ファンシーラットのかしわちゃん
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