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ライフ #獣医病理医からみた「動物の話」

ペットを「おくりびと」に託した飼い主の深い愛情 「コスメティック剖検」が必要とされている理由

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  • 中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家
  • 大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者
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元気な頃のファンシーラット。名前は"かしわちゃん"(写真:飼い主さん提供)※一部加工しています

体調が悪くなる数カ月前には、左後ろ足にできたしこりの切除手術を行ったといいます。

その後、元気がなくなり、動物病院で肺炎の治療を続けていましたが、いよいよ体調が悪そうにしているので、「もし亡くなってしまった場合は死因を調べてほしい」ということでした。

相談のメールには飼育状況や日々の様子、これまでの病歴などが詳細に記されており、飼い主さんがラットを大切に飼育していることがよくわかりました。

「コスメティック剖検」って何?

依頼には「コスメティック剖検で」という条件が付されていました。

聞き慣れない言葉だと思います。獣医病理医が亡くなった動物の死因を解明するために行う解剖を「病理解剖」と呼び、これを剖検ともいいます。解剖ですから、必然的に遺体をメスで切り開き、臓器や組織を取り出して観察することになります。

一般的に「解剖」というと、切り刻まれ、バラバラにされた無残な遺体がイメージされるかもしれません。死因を徹底的に追究しようとすると、まさにバラバラになるまで病理解剖をする必要があることもあります。ひと昔前まではそれが普通でした。

しかし、近年では飼い主の感情に配慮し、遺体の損傷を最小限に抑えるような解剖が行われることが増えてきています。

切開箇所を可能な限り小さくし、臓器の摘出後にはていねいに縫合。その後、遺体全体を清潔に整えて飼い主に返却するというもので、これが「コスメティック剖検」です。コスメティック(cosmetic)とは、「繕った・美容のための・整形の」といった意味合いの英語です。

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