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ライフ #獣医病理医からみた「動物の話」

ペットを「おくりびと」に託した飼い主の深い愛情 「コスメティック剖検」が必要とされている理由

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  • 中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家
  • 大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者
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遺体に手を合わせた後、慎重に解剖を始めます。体毛はそのまま。切開部位は後できれいに縫合できるよう、できるだけ小さく、切開はていねいに。骨や神経などの組織に異常は見られなかったので、できるだけそのまま体の中に残します。

組織の採取が終わった後、傷口はきれいに縫合し、全身を清潔にして整えます。「病理解剖後、元気だった頃の姿で飼い主さんに遺体をお戻しする」ということを目指します。

死亡したラットの「本当の死因」

解剖後しばらく経ってから、さらに顕微鏡で詳しく観察し、病理診断の結果が出ました。動物病院で言われたような肺炎は見つかりませんでした。代わりに肺にリンパ腫が見つかりました。

リンパ腫というのは、簡単にいえば血液の細胞に由来するがんです。また、左後ろ足に見られたしこりは、免疫に関連する細胞に由来する組織球肉腫という種類のがんで、ほかに心臓、膵臓、膀胱、精巣、副生殖腺、眼球、皮膚などの組織にも同様のがん細胞が見つかりました。

つまり、このラットは、当初考えられていたような肺炎ではなく、免疫細胞の一種に由来するがんに全身が冒されたことに加え、肺でリンパ腫を併発し、その末期に呼吸不全となって亡くなったのです。

それが、病理解剖が明らかにした死の真相でした。

高齢のラットにおいてがんを予防することは困難です。ラットは、全身にがんが広がるまでよくがんばって生き抜いたのだといえます。

剖検をしたことで、がんばって生き抜いてくれたことがわかった(写真:飼い主さん提供)
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