美しい日本語で綴られたメール
ケイスケさん(仮名、55歳)に取材依頼のメールを送ったところ、返信の件名欄に「奉答」とあった。つつしんで答えるという意味だ。本文では取材に応じますとの旨と、所用で都合のつかない日程が記載され、「無理なお願いの数々、枉(ま)げてご容赦頂ければ、幸甚至極でございます」。最後は「御健勝と御活躍とを心より念じ上げます」と結ばれていた。
ケイスケさんは早稲田大学の大学院を修了。博士号を取得し、30代のころは台湾の大学で専任教員を務めた。しかし、50歳を過ぎてから発達障害の診断を受ける。もともと得手不得手の差が激しく、現在はパートや障害者雇用で働くことも難しいという。
メールでの言葉選びにわずかな堅苦しさを覚えつつも、それ以上にていねいで美しい日本語が印象に残った。
一方で実際に会ったケイスケさんはファミレスのボックス席に座るや否や、自身の主治医との出会いや中高年の発達障害の人たちによる当事者団体のこと、本連載の内容を批判するユーチューバーのことなどを矢継ぎ早に話し始めた。


















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