「遅刻、忘れ物が多い」「仕事がうまく回らない」「人とコミュニケーションがうまくとれない」ーー。このようなことを繰り返してばかりだと、仕事や人付き合いの場面で本人も苦労が続きます。周囲からは性格や能力、また個人の努力の問題だと見られがちですが、その生きづらさには「もしかしたら」発達障害が影響しているかもしれません。
「発達障害は子ども時代にわかることもあるが、違和感を抱いたまま大人になる人も多い」というのはADHDなど発達障害に詳しい医師の司馬理英子さん。「生きづらさを減らすには、発達障害に気づいて適切な対応を知ること、周囲の理解とサポートを得ることが重要なポイント」だという司馬さんに、発達障害のタイプや特性について聞きました(本記事は司馬さんの著書『もしかして発達障害?「うまくいかない」がラクになる』より一部を抜粋したものです)。
のび太やジャイアンはADHD的?
発達障害が日本で知られるようになったのは、20年ほど前からです。それまで、落ち着きがなく衝動的だったり、人とうまく関われなかったりするのは、しつけや教育、あるいは本人の性格の問題とされることがほとんどでした。
しかし研究が進むにつれて、生まれつきの脳の機能特性により生きづらく感じる人がいることがわかってきました。
発達障害の人は脳に集まった情報を整理・選択し、適切な行動につなげるのが苦手です。はっきりとした原因はわかっていませんが、脳の一部の働きが弱かったり、役割がかみ合っていないからではないか、と考えられています。
発達障害の特性のあらわれ方や程度は人それぞれ。ある特性だけが強くあらわれる人もいれば、あまり目立たない人もいますが、大きく分けると3つのタイプになります。
ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)注意欠如多動症
ASD(Autism Spectrum Disorder)自閉スペクトラム症
SLD(Specific Learning Disorder)限局性学習症
それぞれのタイプの概要を見てみましょう。
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