子どものころから困りごとが多く、大人になってからも仕事や人づきあいの場面で「生きづらさ」を感じることがあるなら、「発達障害」の影響があるかもしれません。
「発達障害は生まれつきの"クセ"のようなもの」というのは医師の司馬理英子さん。司馬さんは「発達障害の人は能力が低いわけでも、性格や人間性に問題があるわけでもない。クセを理解して上手につきあっていけば、困りごとを減らせるはず」と話します。
発達障害の特性の現れ方や程度は人それぞれですが、本記事では司馬さんの著書『もしかして発達障害?「うまくいかない」がラクになる』から一部を抜粋し、人との関わり方に特徴があるASD(自閉スペクトラム症)について2つの事例を紹介します。
(編集注)記事中に掲載しているマンガの欄外にある★印は、行動や周囲の反応の様子から発達障害の可能性を探る目安を筆者が示したものです。
誰にでもあるレベル=★、ちょっと目立つかな=★★、これは発達障害の傾向があるかな=★★★、気をつけないと困ったことが続きそう=★★★★、けっこう大変な状況=★★★★★
人との距離感をつかむのが苦手
お店で不自然になれなれしい店員が商品をすすめてきて、居心地の悪さを感じたことはありませんか?
売るためのテクニックでそうしている可能性もありますが、もしかしたらASDの傾向がある人なのかもしれません。ASDの人は自分の立場や状況にふさわしい言葉選びができず、相手を怒らせてしまうことがあるのです。
人と人とのコミュニケーションの中で多くの人は、その場であえて言わなくてもいいことを言わずにいたり、親しさの度合いで敬語の使い方をコントロールしたりといった配慮をしています。
しかし、ASDの人はそれが苦手。思ったことをそのまま口にしてしまいます。それがズバッと核心を突くことだったりすると、なおさらひんしゅくをかいやすいのです。さらに、敬語を使うのも苦手な傾向にあるので、本人にはそんなつもりはないのに偉そうだと思われてしまいます。
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら