「思いつきで先走って行動しがち」「待ち合わせに毎回遅刻」「整理が苦手でしょっちゅう物をなくす」ーー。このような行動に心当たりがあるなら、発達障害のひとつ、ADHD(注意欠如多動症)があてはまるかもしれません。
社会人として生活を送る中で困ることが多く、生きづらさを感じるなら、その特性を正しく知り、悩みを解決する方法やヒントを知るのも大切なことです。
本記事では、ADHDについて詳しい医師・司馬理英子さんの著書『もしかして発達障害?「うまくいかない」がラクになる』より一部を抜粋し、ADHDの特徴のひとつである「整理が苦手で物をなくしやすい」「事務作業が苦手で締め切りを守れない」という2つの事例をご紹介します。
(編集注)記事中に掲載しているマンガの欄外にある★印は、行動や周囲の反応の様子から発達障害の可能性を探る目安を筆者が示したものです。
誰にでもあるレベル=★、ちょっと目立つかな=★★、これは発達障害の傾向があるかな=★★★、気をつけないと困ったことが続きそう=★★★★、けっこう大変な状況=★★★★★
家の鍵を何回も失くしてしまう
ADHDの人は、行動や作業をするときに必要な、「ワーキングメモリー」と呼ばれる脳の中の「記憶のおぼん」が小さいといわれています。
そのために覚えておくことが多いと、すぐに容量オーバーしてしまいます。Aさん(28歳)も、家に入ったとたん鍵はソファの上に投げて寝てしまい、そのまま鍵のことは忘れてしまいました。
ソファに横になったはずみで鍵はゴミ箱へ……翌朝さがしても見つかるはずがありません。
「帰宅したら、まず鍵を定位置に置いて、コートやバッグを片づけ、買ってきたものを片づけて、それから」というようなたくさんのことを脳が記憶しておけないのです。
また、次から次へと興味関心の対象が変わってしまう「衝動性」のため、ものを使い終わった瞬間に、次のことに意識が向かい、その前の記憶がきれいさっぱり抜け落ちてしまいます。
そのため「出したら片づける」という片づけのシンプルなルールが守れず、部屋が散らかってしまい、しょっちゅうものが行方不明になってしまうというわけです。
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