「読む」「書く」「話す」「計算する」など、特定の学習が目立って苦手なのがSLDです。
例えば、文字があちこちに散らばって見えるので文章がスムーズに読めない、という人がいます。読めるのに書けないとか、数の概念が理解できなくて算数が苦手という人も。
• 音読がたどたどしい
• 鏡文字を書く
• 作文が書けない。書くのが遅い
• 計算問題ができない
• 算数の文章題が解けない
幼いころは気づかれにくいのですが、小学校に入ると授業についていけなくなり、周囲の目にも特性が明らかになります。
知的発達には問題がないために、怠けていると思われがち。本人は努力してもできないので、自信を失ってしまいます。
発達障害と「ふつう」の境界線
発達障害のひとつであるASDのSは、「スペクトラム」の略です。これは範囲や境界線があいまいなまま連続している、という意味の言葉。自閉(Autism)状態が連続しているとは、どういうことなのでしょう。
例えば、健康診断で胸にあやしい影が見つかったとしましょう。がんの可能性があるからと精密検査を受けました。結果は良性の脂肪のかたまり。ああよかった!――こんなふうに、がんかどうかははっきりわかります。
ところが発達障害は、白黒をつけるのが難しいのです。細胞を調べればわかるがんと違い、「発達障害と〝ふつう〟の境界線はここだ!」と明確に言えません。発達障害なのか、定型発達の範囲なのか、専門家でも判断に迷うことがあるのです。
発達障害の特性の出方は、育った環境や周囲に理解者がいるかどうかでも変わります。ですから、ある特性のためにとても生きづらく感じる人がいる一方で、そこそこうまくやっていける人もいます。「ステージ2のがん」の定義は患者が誰であっても共通ですが、発達障害ではそう言えないのです。
こうしたあいまいさはASDだけでなく、ADHDも同じです。また、ASDとADHDの両方の特性をもつ人もいます。
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