「貧困家庭で浪人」借金して東大目指した彼の暗闇 家庭状況が厳しい中でも浪人したのはなぜか

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布施川さん(写真:布施川さん提供)
浪人という選択を取る人が20年前と比べて2分の1になっている現在。「浪人してでも、志望する大学に行きたい」という人が減っている一方で、浪人生活を経験したことで、人生が変わった人もいます。自身も9年の浪人生活を経て早稲田大学に合格した濱井正吾さんが、さまざまな浪人経験者にインタビューをし、その道を選んでよかったこと・頑張れた理由などを追求していきます。今回は、年収300万円の家庭で生まれ育ち、週に3回アルバイト・母親の介護をしながら浪人生活を戦いぬき、東京大学に最低合格点から0.8点差で合格した布施川天馬さんにお話を伺いました。

みなさんは東大生と聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか?

「小さいときから勉強漬け」とか「お金持ちの家庭が多い」といったイメージをなんとなく持つのではないでしょうか。

実際、2020年度に東京大学学生委員会が実施した学生生活実態調査結果報告書を見ると、保護者の年間世帯年収が1050万円以上の家庭が42.5%という結果が出ています。950万〜1050万円未満が11.4%、750万〜950万円未満が16.9%と続き、450万円未満の家庭はわずか14.0%しかいません。

年収300万円台の家庭から東大に合格

しかし、今回インタビューした布施川さんは東大生の中でもマイノリティーである、年収300万円台の家庭から東大に合格した経歴の持ち主です。

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さらに布施川さんは、1浪を経験しています。浪人生活は莫大なお金がかかります。一般的に、1年間フルに予備校に通うとすると100万円、生活費や参考書代や受験料などを含めると150万円以上の出費は覚悟しなければなりません。

そんな世帯年収の半分のお金が1年で失われるにもかかわらず、布施川さんは浪人という決断をしたのです。

どうして、お金のない家庭の中でも浪人という決断をしようと思ったのでしょうか。なぜそこまでして東京大学に行きたかったのでしょうか。

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