「センター試験は756/900点で、9割程度の得点者が多い東大の出願者の中では低いほうですが、自信がありました。東大2次試験もできて受かったと思いましたし、これで受からなかったらもう仕方ないとも思えました。それだけ悔いなく1年をやり切れたんです。さすがにここまでギリギリの点数とは思いませんでしたが(笑)」
アルバイトをしながらでも、母の介護をしながらでも、信念を持って浪人をすれば成績を伸ばして合格できることを、布施川さんは見事に証明してみせたのです。
人生の油断を消すことができた
こうして東大に合格した布施川さんは、浪人してよかったことについて「油断を消せたこと」を挙げてくれました。
「僕は学校の中では勉強について困ったことがなかったんです。ずっと特待生でしたし、それを維持するのにすごく努力したわけでもないので、好きなゲームをする時間も十分取ることができてある程度満足した生活を送れていました。そんな生活から一気に浪人でドン底に突き落とされたので、今後も油断して生きてはいけないんだろうなと気を引き締めて謙虚に生きられるようになれたのです。全能感を消すことができました」
頑張れた理由も、無職であった自分自身を「ドン底」と捉えたことが大きかったようです。
「浪人の時の自分は、無職だから外を歩くのにも周囲の視線が気になってしまって、すごく肩身が狭かったのです。そんな屈辱的な選択をしてまで勉強をしているのだから、どうしても東大に行かなければならないと思っていました。だから東大に入れてからは、周囲の方からいろんな面で信用していただくことが多くなって、周りの目が気にならなくなりました。浪人して東大に入れて、本当に良かったと思います」
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