身寄りのない「単身高齢者」が陥る社会的孤立 身元保証や死後の手続きを誰が担うのか

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ショッピングカートを押しながら歩く高齢者
単身高齢者は孤立しやすい。日常生活や緊急時に頼る人が乏しい(撮影:今井康一)
最も孤立に陥りやすいのが、高齢の単身男性だ。身寄りのない高齢者が増える中、家族に頼ってきた機能をいかに社会で担うかが問われている。特集「1億『総孤独』社会」の一覧はこちら

ウィズコロナの時代に入り、人との交流が少しずつ戻ってきた。コロナ禍では、人と人とのつながりを保つことが難しくなり、生きづらさを感じる人が増えていたので、状況が変わってきたことをうれしく思う。

とはいえ、地縁、血縁、社縁といった共同体機能が脆弱化する中、社会的孤立はコロナ禍前から問題にされていた。コロナ禍では孤立が一層深刻になり顕在化したが、社会の根底にある問題は変わっていない。本稿では、社会的孤立の実態と対策を探っていく。

「社会的孤立」とは、他者との関係性が乏しい客観的状態をいう。寂しいとか独りぼっちといった主観面を表す「孤独」とは異なる概念である。

重要な他者との関係性

もし、社会問題として「孤立」と「孤独」のどちらを重視すべきかと問われれば、筆者は「孤立」と答える。なぜなら、人は1人では生きられないからである。いざというときの支援を含め、他者との関係性は重要だ。

一方、「孤独」は主観によるため個人差が大きく、政策対応が難しい面がある。さらに、政策が主観に入り込む危うさもある。ただし、孤立や孤独を引き起こす要因は、重複する点が多い。

孤立の測定指標は定まっているわけではないが、先行研究を見ると、①会話の欠如、②「頼れる人」の欠如、③「手助けする関係」の欠如などが挙げられる。注目したいのは、「手助けする関係」の欠如が孤立指標になっている点だ。孤立を減退させるには、誰かのために何かをすることも重要になる。

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