普通に考えれば人口が減少している日本では、これから製品の営業販売数は低下していくことが見込まれます。そのため、他の成長分野への参入や輸出を含むシェアの増加を試みる必要があるはずです。
しかし、現在所属しているコミュニティー内の情報共有にとどまっていると、なぜデジタル化が必要なのか、という議論に触れる機会も少なく、自分ごとになりません。そのため、DXに対応した従業員のリスキリングが必要という結論には至らないのです。
「境界連結者」がイノベーションの鍵を握る
『リデザイン・ワーク 新しい働き方』の中で特に感銘を受けたのが、「境界連結者」という考え方です。
一般的に労働のネットワークには、「よく知っていて、信頼することができて、いざというときに助けを求められる関係(=強い紐帯)」と、「それほど頻繁に会わず、情緒的な絆も強くないが、メールを送れば返事が戻ってくるぐらいの関係(=弱い紐帯)」の2つがあります。
前者のネットワークはお互いを深く理解していますが、同質性が高く、イノベーションが起きづらいという特徴があります。一方、後者のネットワークは、お互いを詳しく知らないけれども、未知の情報を持っている可能性が高いという特徴があります。また、前者は組織内のネットワークで、後者が組織外のネットワークになる人が多いのではないでしょうか。
そこで重要になってくるのが、組織の内外で「強い紐帯」をもつ「境界連結者」という存在です。彼らは組織外のまったく異なる思考様式や仕事のやり方を、組織内のメンバーに対して検討するよう促すことができます。また、彼らが親密なグループ以外に「弱い紐帯」を持っていれば、もっと大きなコミュニティーと結びつく機会を手に入れられる可能性があります。
彼らは、組織内外の橋渡しとなり、イノベーション創出の第一歩を作り出すという点で、欠かせない存在なのです。
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