アントニオ猪木氏「外交に勝利なし」断言の深い訳 本当の意味で「命を懸ける政治家」が少ない

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猪木:俺が思っているのは、政党を超えた、今、日本ができない、自民党ができない、そういう国際的な外交を猪木らしく行うことです。パフォーマンスだけじゃなくて、本音で行うこと。たとえば日本がいちばん目の届かない中東やアフリカが重要になります。

ムーギー:パキスタンにも行かれましたね。

猪木パキスタンでは興行もやりました。ただ、パキスタンのペシャワールは「タリバンの巣窟」といわれるところで、「こんなところで興行を行うことは認められない」と日本の外務省が後援を下りてしまいました。

でも、「俺は結構だ、そんなの関係ねえ。俺がやるんだ」と言ってやってみたら、大成功で。しかもイベントの前後1週間はテロがいっさい起きなかった

ムーギー:向こうの人もこんな猪木さんみたいな人、殺しちゃだめだと。

「最も危ない場所」から平和を訴える

猪木:アントニオ猪木は、向こうでは「モハメド・フセイン」という名前ですが、私のような形で「平和のメッセージ」を送れる人間は、たぶん誰もいないと思いますよ。

ムーギー:「ワシントンポスト」も一面を抜いて記事にしていましたね。

猪木「危ないから行かない」のではなくて、逆に「危ないからこそ、われわれがそこで果たせることがあれば行くべき」だと。

「最も危ない場所から平和を訴える」のは、イラクの人質の解放やソマリアでも同じことです。それは別に命を粗末にするということではありません

ムーギー:ちなみにパキスタンに行かれて、成功とおっしゃいましたけど、イベントで観客が楽しんだという話ですよね。具体的にパキスタンとの間に、また何かなさりたい、解決したいことがありますか?

猪木:いろいろあります。「体育学校をつくりたい」とか「猪木アカデミーをつくりたい」とか。今回も首相の弟が、ラホールでのイベント開催のために一生懸命やってくれたのです。

パキンスタンは大統領より首相のほうに力があるので、首相のサポートは力強い。たとえば、パキスタンを通じた「イラク外交」とか「中国外交」というのも考えられます

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