すかいらーく「100店閉鎖」大苦境の中に残る希望 テイクアウト成長期待や居抜きのチャンスはある

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すかいらーくが主力とするファミレス業態「ガスト」
「ガスト」はあまりにも有名だ(撮影:佃陸夫)
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「すかいらーくがロードサイド店舗を中心に約100店舗閉店」

100という数字だからかインパクトがあった。

「ガスト」「ジョナサン」「バーミヤン」「夢庵」「しゃぶ葉」などの業態を展開する外食大手、すかいらーくホールディングスが2022年度上期(1~6月)決算を発表した。同時に、不採算店を中心に100店舗ほどを閉鎖するとも伝えられている。

ここ半年の売上高は1416億円と前年比149億円増(前上期比11.8%増)。しかし本業の儲けを示す営業損益は24億円の赤字と前上期の営業黒字4.5億円から一転して赤字に陥った。最終損益も27億円の赤字となった。

特殊要因が重なったとしても

この要因として同社は大きな理由を3つ挙げている。100店ほどを閉店する見込みのための減損損失23億円、従業員の給与計算をアルバイトも含めて1分単位で管理することにした臨時損失20億円、そして原材料等のコストアップ影響がマイナス41億円ほど作用した。

① 従業員給与はやむなしで、かつ閉店店舗の減損も一時的かもしれない。原材料等のコストアップがなければ、たしかに営業損失は免れたかもしれただろう。ただ原材料等のコストアップとは、食材のみならず光熱費や人件費も含むもので、ウクライナ戦争や原油逼迫、人手不足の状況を見ると一過性のものとは言いがたい。

②さらに売上高は上期として上昇しているように見える。ただしあくまで2021年比だ。2019年に目を向けると上期の売上高は1875億円だった。ここから見てもコロナ禍の影響を払拭できていないとわかる。

(1)インフレの加速による生活防衛意識の高まり
(2)生活習慣の変化(ディナー減少、オフィスでの需要減)
(3)ファミリー層、酒主体のグループの需要減
(4)中食、内食の拡大

すかいらーくは上記4点を苦戦の要因としてあげ、収益構造改革を掲げている。実際に同グループではガストが地域価格を導入しており、それにより客単価を引き上げている。また冒頭でもあげた不採算店舗の閉店などがある。もっともすかいらーくグループとしては2021年通期でも68店舗が閉店しており、閉店がついさきほどからはじまったわけではない。

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