すかいらーく「100店閉鎖」大苦境の中に残る希望 テイクアウト成長期待や居抜きのチャンスはある

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すかいらーくグループの業績推移

(外部配信先では業績のグラフや店舗などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

大変に厳しい状況が続いていると同社首脳も決算会見では吐露しているし、100店舗の閉店を受けてネガティブな感想を発する識者も多い。

すかいらーくの戦略

もともとすかいらーくグループは20以上の業態をもち、ショッピングセンター、郊外、駅前などさまざまな立地に適した店舗を開業してきた。つまり開発機能や管理機能を集約し、食材等の調達共通化を図りながら、地場のお客に応じて出店形態を変え、収益を最大化するのはある種の発明だった。

私の専門であるサプライチェーンの観点で言えば、全3000もの店舗が使用する莫大な調達量を背景にバイイングパワーを発揮しコスト低減を実現してきたのが、すかいらーくグループだ。さまざまな調達先をもつとともに、食材をセントラルキッチンに集約させ店舗調理を軽減する取り組みも早くから進めてきた。このセントラルキッチンの進化により、立地と業態を問わずに店舗に食材を供給できる仕組みが完成した。

また運ぶ際の効率化も、その店舗の多さゆえに物流を効率化してきたためだ。当然ながら、セントラルキッチンで調理された商品をグループ各店舗に配送できればできるほどコストが安価に済む。

ジョナサンとしゃぶ葉
「ジョナサン」や「しゃぶ葉」もすかいらーくグループ(撮影:佃陸夫)

ところで「100店舗の閉店を受けてネガティブな感想を発する識者も多い」と書いたが、私はやや違う印象をもっている。ここからその理由を述べる。以下、概算であることはあらかじめご容赦いただきたい。

2022年度通期、つまり2022年12月期の売上高予想は3120億円とすかいらーくは発表している。約3000の店舗のうち100店を閉店するから、100÷3000≒3%だ。これは3120億円×3%≒90億円の減収要因となりうる。

しかし同時に次のデータもある。2019年にデリバリーとテイクアウトの売上高は、231億円と90億円だった。コロナ禍2年目の2021年には、それぞれ409億円と203億円に伸びている。

なおテイクアウトは通期でこれからも伸びるかはわからない。しかし2019年比でいえば大きな柱に育っている。

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