井村屋が「アンナミラーズ」の閉店を決めた経緯 長く愛された一方で抱えていた課題
井村屋が8月31日でアンナミラーズ高輪店を閉店すると突然発表してから1カ月。今も店舗には閉店を惜しむ客が行列を作っており、2019年には1993年のピーク時の平均2店分の売り上げを誇っていた高輪店の売り上げは、一気に同店のピーク時並みに跳ね上がった。1996年に始めたオンラインショップも大盛況だ。
1973年の青山1号店開業以来、首都圏の都心部を中心に展開してきたローカルチェーンにもかかわらず、これほどの大反響があることに、井村屋側も驚いている。同社経営戦略室の尾崎弘二氏は、「すごく惜しんでくださっていることに対しては、感謝しかないです。当社としても、次の一手を考えないといけないなと思います」と話す。
アンナミラーズはなぜ、一時代を築くほど人気が高くなり、しかし、ついにリアル店舗が消えることになってしまうのか。井村屋の動きと時代背景から考えてみたい。
アンミラ創業者「ホームランショップになる」
閉店の直接的なきっかけは、品川駅西口の再開発に伴い、国土交通省から移転を要請されたことだ。高輪店の営業自体は、客層が幅広かったこともあり、「安定していた」(尾崎氏)。しかし、「適当な移転先が見つからない」ことから、閉店を決めた。
実際、品川駅からすぐの立地の良さは、1983年の同店開業前に視察に来た本家アメリカのアンナミラーズ創業者、スタンレー・ミラー氏が「この店はホームランショップになる」と予言したほどだった。
高輪店の一番人気は、バナナチョコレートパイで660円。同店では12種類の常時販売するパイ・ケーキに加え、6月13日から順次復刻パイを1種類販売している。現在は、復刻レモンパイを販売中だ。
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