アマゾン、リアルを食い尽くす3つの仕掛け

米国の小売り大手も戦々恐々

米国シアトルにあるアマゾン本社

アメリカのクリスマス商戦がラストスパートを迎えている。多くの小売り業者にとって年間売り上げの3~5割を稼ぐといわれる大事な時期。この期間にあわせてアメリカに旅行する人もいるほどだ。

今年は、ウォルマートがなんと2万点の商品を値下げ。たとえば「iPhone6」は129ドル、55型テレビ678ドル、48型テレビ348ドルなどと、なりふり構わない激安販売に踏み切っている。「ベストバイ」「シアーズ」などの大手小売店も同様の動きだ。「家電はいつ買ったほうがいいか?」と聞かれれば、アメリカの場合は決まっている。このクリスマス商戦の時期である。

それにしても近年の小売り各社の値下げ攻勢は、EC(電子商取引)業者の台頭抜きには語れない。価格とサービスの両面で、リアルの小売業を脅かしている。中でも群を抜いているのはアマゾンドットコム(以下、アマゾン)だ。

2014年はアマゾンが次々と驚きの戦略を打ち出した1年だった。それは大きく3つ挙げられる。順を追って振り返ってみたい。

注文を受ける前に発送してしまう!

まず2014年初頭に明らかとなった計画は、「予測発送」(anticipatory package shipping)である。アマゾンが有する顧客の受注履歴を基に、注文を受ける前からお客に発送してしまおう(!)というものだ。

そのアイデアは、SF映画そのものにしか聞こえない。消費者の日常生活において食品や日用品、医薬品などは、継続的に安定して一定量を購入するもの。アマゾンは顧客の購買行動や「ほしい物リスト」=「wish list」に入れている商品などのデータを収集・分析。それを基にさまざまな商品の需要を予測して配送センターから顧客の近くの配達所まで送ってしまうというのだ。送ったあとに、実際の受注データと照合され、最終的な送り先が決まっていく。

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