あなたが街中でバッタリ遭遇した、あるいは何らかの機会を狙って、憧れの有名人の写真を撮ることができたとする。手持ちのスマートフォンで撮影するだろう。
すると、そのスマホへ、ある知らせが届く。写真に写った有名人が身に着けていた服やアクセサリー、バッグなどの詳細な情報だ。要は「買わないか?」という提案である。「ウザい」と思う人が大半かもしれないが、意外な提案についクリックしてしまうかもしれない。極端な例かもしれないが、今まさにこんなサービスが産声を上げている。
撮影データから購入へ
2015年に注目度が高まりそうなスタートアップ企業がある。カナダのトロントで生まれたSlyce。日常生活を消費活動に誘うアプリをつくっている。私たちがスマホでさまざまなモノの写真を撮影すると、その商品をネット上で探し、価格や在庫の情報を教えてくれ、購入までできるサービスを提供しているのだ。主要な小売り企業6社と提携している。余談だが、SlyceのIPアドレスは「.it」で終わる。ドットコム企業ですらなく、ドットITである。
Slyceが面白いのは、写真からモノを判別するだけではなく、ビデオ(映像、動画)やオーディオ(音声)なども認識できる機能も持つことだ。撮影した商品そのものが見つからないときは、類似の商品が表示される。「お望みの商品はないけれど、こっちはどうだ?」という具合。子どもの汚れた靴を撮ったら、「そんな汚れたクツは捨ててしまって、すぐさま新品を買おう」などというわけだ。スマホユーザーが撮影した1枚の写真が、無数の消費へとつながっていく。
このアイデアをビジネスにしているのは、カナダのスタートアップだけではない。流通の新たな巨人もプレーヤーだ。アマゾンドットコム(以下アマゾン)である。
アマゾンはかねてより、画像認識技術を磨いてきた。アマゾンのアプリを使えば、商品写真をアップロードすると、アマゾンの商品ページを紹介する仕組みもできている。そのアマゾンが、自社のスマホ「Fire Phone」に実装するのが「Firefly」なる新たな機能である。
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