アマゾン、リアルを食い尽くす3つの仕掛け 米国の小売り大手も戦々恐々

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最後は、「amazonDash」だ。これは細長い機器で、キッチン近くに置かれることを想定されている。ユーザーが食品名を声で呼びかける、あるいは商品のバーコードを読み込むと、アマゾンがすぐさまその注文を送ってくれる仕組みである。発注がしやすければ売り上げは増えるだろうという目算での仕掛けでもある。

このサービスはさらなる発展をにらんでいる。アマゾンは家じゅうにセンサーを張り巡らせる実験を実施した。なぜ、センサーを張り巡らせる必要があるのか。それは、家じゅうの日用品不足を察知するためだ。

たとえば、換気扇近くに設置されたセンサーは、フィルターの汚れを教えてくれるかもしれないし、冷蔵庫に設置されたセンサーは、冷凍食品の不足を教えてくれるかもしれない。もちろん、「補充はワンクリックでアマゾンに注文できますよ」と表示するのを忘れないだろう。

センサーで足りない商品を探し出す

それを具現化しようと、アマゾンが投入したのが日本語で「やまびこ」と呼ぶ新商品。2014年11月6日に姿を表した、その名を「amazon echo」という。黒い筒状のもので、センサーをいくつも携え、家庭じゅうの機器とつながっており、ステレオや照明をつけたり、話しかけてくれたり、またネットを通じて調べ物をしてくれたりする。遠い部屋からも家族の発言を拾い、反応してくれる。さらに凄いのは(というか当たり前のように)、買い物補助をしてくれることだ。

アマゾンはひたすら早く、ひたすら安く、を追い求め、倉庫にロボットを入れた。人間=労働者は不要となり、ひたすら効率化を求め、低コスト化にも余念がない。2014年は、どの側面を切ってもアマゾンから驚かされる年だった。安くて早くて、品揃えが良いアマゾンに依存する私たちの状況が良いのか悪いのか。私は判断できずにいるが、この徹底した姿勢を少し恐いとも感じている。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。著書も多数。

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