アマゾン、リアルを食い尽くす3つの仕掛け

米国の小売り大手も戦々恐々

それでも受注がなければ、消費者にプッシュ型の宣伝広告メールを出す。さらには返品可能の条件で、実際に消費者に送ってしまう手もあるようだ。確かにこれまでも製造業の世界では、精度の高い受注予測から、ムダのない生産が志向されてきた。それが良いことか悪いことか。判断できないが消費者の購買行動はアマゾンに読まれ、配達時間は縮む。

30分で配送する「ドローン」の驚異

二つ目は注文から30分での短時間配送を可能にするドローン配達計画。ドローンとは、無人ヘリコプターのことで、注文のあと倉庫から自動的に飛び出し、お客の住居前に荷物を落とす。

お客は注文時に「30 Minute Delivery」と書かれたボタンを押すだけだ。あとは30分以内に、ドローンが郵便配達人の代わりに荷物を持ってきてくれる。FAA(連邦航空局)がアマゾンをはじめとするネット小売業者にすんなりと許可を与えるかは微妙なところで、ドローンの盗難の問題や人身・物損ともに事故のリスクなど課題は多くある。

ただ、これも可能となればおなじくアマゾンのサービスレベルは向上していくだろう。ドローンが街じゅうのデータを収集すれば、それだけでグーグルストリートビューを超える画像が提供されるかもしれない。

アマゾンは、それ以外にもタクシーの空き時間に荷物を配送する計画やメッセンジャー便を活用した配送計画も立てている。これらは固定コストがかかる業態で、荷物を載せていない空き時間も、ずっとコストが垂れ流されている。その空き時間にアマゾンの荷物を運べれば、低報酬でもメリットは大きい。他の配送業者の空き時間を活用して安価に送る――。

この類似サービスは、米zipmentsや米RideShipなども展開しており、アマゾンが真っ先に創出したアイデアとはいえないが、アマゾンはリアル店舗と同等を目指すために、あの手この手を使い、顧客サービス向上のため、即時配達に燃え止まない情熱を注いでいるように見える。さらに生鮮食品の販売にも積極的に乗り出していく方向で、これまで、書籍や家電、日用品のイメージがあったアマゾンだったが、ここにきて本格的にスーパーやコンビニエンスストアとも対決姿勢を鮮明にしている。

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