アマゾン、まだまだ進化する巨人の将来 次々飛び出す奇想天外なアイディア

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無人機配送サービスで世界中を驚かせたアマゾン(提供:AMAZON.COM/AP/アフロ)

アマゾンはこれまで、利益率が薄いながら毎年、売り上げの高い成長率を誇っているハイテク優良株だった。しかし2013年第4四半期決算では、売り上げは前年同期比20.3%の増加だったが、この数字は市場予想に届かず、2013年通期の売り上げ増加率である22%を割り込んだ。成長の鈍化が指摘され、株価を後退させる要因となった(関連記事:Business Wire )。

米国で暮らしている中での「Amazon」という存在

アマゾンは米国でも顧客体験を大切にする企業として知られている。特にECサイトでは、インターネットを最大限に活用して、店頭での買い物以上の利便性を作り出すよう努力している。

日本でもおなじみのインターネット通信販売サイトだ。書籍から家電まで、生活にかかわるあらゆるものを購入することができる。特に東京で利用していると、午前中にオーダーした商品が夜には届く当日配送も実現しているほどだ。先日、久々に東京でアマゾンから「やかん」を購入したが、早く届きすぎて筆者のその日の帰宅のほうが間に合わなかったほどだ。

しかし、この米国に引っ越してからは、東京ほどの驚くべきEC体験には巡り合っていない。

筆者はカリフォルニア州サンフランシスコ近郊のバークレーに住んでいるが、アマゾンでオーダーしても、通常配送ではおよそ5日間、プライムに契約してもうまくいって2日後の配送。しかもプライムの料金は年会費79ドルで日本の2倍の値段だ。この値段を払ったとしても、2日後に届くのは地元企業でないかぎりは快挙と言えるのが、米国の配送事情だ。

2012年ごろから米国のECサイト事情について調べてきたが、デザインに力を入れたセレクトを行うFab.comや、食の都ニューヨークで支持されているというブランドを背景に支持を集めたワイン販売を行うLot18など、特徴的なECサイトが急成長してきた。またコーヒーやカミソリの刃、化粧品などを定期購読型で購入するサブスクリプションコマースも登場している。

Kickstarterは、プロジェクトに対して資金を集めて実現へこぎ着けるクラウドファンディングのサービスだが、個人が考えたガジェットだけでなく、すでに製品をリリースしている小規模なメーカーが初期の顧客獲得とコミュニケーション、口コミ作りのためにKickstarterを利用するパターンも増えている。

特化型、機能型など、新しいサービスが勃興している。アマゾンが当初カバーしていたニッチなニーズをより便利に変えてくれていることは間違いない。しかし同じ商品がアマゾンにあるのなら、進んで新しいサービスで購入しようとはなかなか思わないのも事実だ。

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