公立学校では非正規雇用の教員が増え続けている。その数は全国の公立学校で5~6人に1人に上る。教師という職業に、一体何が起きているのか。
特集「『非正規化』する教師」の第8回は、定年後の再雇用でも学校の都合で切り捨てられる非正規教員の問題に迫る。(過去の記事はこちら)
「38年4カ月にわたる教員人生が、まさかこんな形で幕を下ろすなんて……」
こう話すのは、元教員でミステリー小説家の愛川晶(本名 三瓶隆志)さん(64)だ。元福島県の高校教員であり、自身は勤務の傍ら20年以上にわたりミステリー小説等を手がけてきた。非正規教員の一形態である「再任用教員」について描いた小説『再雇用されたら一カ月で地獄へ堕とされました』(双葉文庫)は、自分の経験をもとに書かれた小説だ。愛川さんは、今でも当時のことを夢に見ると言う。
再雇用後、わずか4カ月で学校を去ることに
福島県の高校教諭として40年近く勤めてきた愛川さんが、突然学校を去ることになったのは2018年8月。同年3月に定年を迎え、4月に再任用されてから、わずか4カ月後のことであった。
公的年金の支給開始年齢引き上げに伴い、学校教員においても2001年度に教員の再任用制度が導入された。その結果、公立学校では多くの再任用教員が雇用されるようになった。この再任用教員の任用期間は「1年」であり、基本的に途中で解約されることはない。
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