「自分としても何が悪くて落ちているのかわかりません。その疑問は、10年以上にわたってずっと持ち続けています」
そう話すのは中部地方の高校で非正規教員として働く武田晴久さん(仮名、第4回参照)だ。「採用試験の論文と面接は、どの自治体も評価の観点を示しています。でも、どれも極めて抽象的」(武田さん)というように、採用試験の評価規準に対して疑問を持つ人は少なくない。
実際に、学校では正規教員と同等以上の働きを見せている人が、試験で落ち続けているケースは多い。中には、「担任を何年も務め上げてきた自分が、不合格の烙印を押されるのは耐えられない」として、採用試験を受けずに非正規教員を続ける人さえいる。
試験は「公正」「公平」なのか
武田さんも、首都圏の公立小学校に勤める川島和希さん(仮名、第1回参照)も、過去数年は2次試験、面接や論文や模擬授業など、現場の知識やスキルが生かせる試験科目で落とされている。キャリアを考えれば大学生に劣るはずがなく、ごく普通に通過してもおかしくない。
何かしらのバイアスが働いているのではないか――。そう勘ぐるのは筆者だけではないだろう。はたして、教員採用試験は「公正」「公平」なシステムの下で、合格者を決めているのか。この点を掘り下げていくと、公立学校教員の採用システムが「ブラックボックス化」されている実態が浮かび上がる。
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