公立学校の非正規率は、過去10年以上にわたり上がり続けてきた。その要因について、教員の需要・採用数などを長年研究してきた兵庫大学高等教育研究センターの山崎博敏教授は「各自治体が年齢構成の平準化を図った可能性がある」と指摘する。
「1970年代後半から80年代前半にかけて、日本は第2次ベビーブームの到来で、教員の大量採用が行われました。その結果、いわゆる『団塊世代』の教員は他の年代に比べて多く、年齢的な不均衡が生じました。そして2010年頃からはこの世代の大量退職が始まりましたが、生じた欠員をすべて正規で補充すると、再び年齢的な不均衡が生じます。そのため、どの自治体も一定割合を非正規で雇い、年齢構成の平準化を図ったと考えられます」
年齢的な偏りが解消
下の図は小学校の正規教員の年齢構成を示している。2010年度は団塊世代の大量退職が始まったころで、一目見て50代の教員が他の年代よりも突出して多いことがわかる。一方、9年後の2019年度になると、年齢的な偏りがかなり解消されていることがわかる。団塊世代の大量退職後、多くの自治体が正規教員の採用を控え、一定割合を非正規教員で雇用してきた結果と推察できる。
実際、ある自治体の教育委員会の担当者に聞くと、次のような回答があった。
「2000年代中頃から団塊世代の大量退職が始まりましたが、50代の方が抜けた分をそのまま正規採用で埋めると、教員の年齢構成に偏りが生じます。つまり、抜けた分の山を新たにつくってしまうことになります。教育委員会としては、年齢構成の平準化を図りたいという考えは確かにありました」
このデータは全国統計であり、年齢構成の偏り具合は自治体によって異なる。例えば、首都圏の小学校は地方よりも早く大量退職が始まったため、2006年頃にはすでに年齢バイアスが働いていた可能性がある。
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