だが、現状は多くの自治体が「一般選考」と「特別選考」を分けずに合格者を発表している。つまり、「特別選考」から何人が合格したかはわからない。そのため、「特別選考」の合格ラインが「一般選考」のそれよりはるかに高いという可能性も十分にありうる。
このように、教員採用試験の選考プロセスは、ブラックボックス化されている部分が多い。せめて「一般選考」と「特別選考」でそれぞれ何名採用するかを明示し、透明性を確保していく必要がある。
現場が「欲しい」と思う人ほど合格できない
中堅・ベテラン非正規教員の多くは、「子どものため」をモットーに日々抜かりなく授業準備を行い、指導に時間を惜しまずに働いてきた人たちだ。そうして公教育の維持に貢献しつつ、限られた時間を使って試験対策を行い、「今年こそ」と思いながら試験本番に臨んでいる。そうした人たちが、「年齢構成の平準化」というバイアスによって正規雇用への道が阻まれているのであれば、こんな理不尽な話はない。
一方で、比較的若い非正規教員の中には、採用試験を優先的に考え「仕事は必要最低限で」とのスタンスを取る人もいる。そうして合格を勝ち取る人が、本当に良き教員になるのか。この点をあるベテラン教員に聞いたところ、次のような言葉が返ってきた。
「そんな人は教員になってほしくありません。現場が欲しいのは、子どものために一生懸命動いてくれる人。でも、そうした人ほど合格できない状況が少なからずあります。職場の人間が採用・不採用を判定できるような仕組みがあればいいのにと思います」
民間企業においても、採用選考で志願者の能力を正しく測れず、人材のミスマッチが生じるケースは珍しくない。だが、教員採用試験の受験者は毎年全国で13万人以上に上る。「年齢構成の平準化」というバイアスによって、人材のミスマッチが大量に生じているのだとしたら、公教育は大きな損失を被っていることになる。
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(第6回「育成されず『ただ使い捨てられる』非正規教員」は近日配信)
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