再雇用教員が4カ月で「雇い止め」された理不尽 定年後の教員が学校都合で切り捨てられる現実

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愛川さんが2カ月間の辞令を打診された際に言われた「これを断ると、次の話はないかもしれませんよ」という言葉は、非正規教員に辞令を受けさせる際の常套句となっている。今シリーズの取材を通じて幾度となく耳にした話だ(第1回第4回参照)。

単なる脅しではない。ある高校教員は、定時制高校の勤務を打診された際に「親の介護があるので夜間勤務はちょっと……」と難色を示したところ、それ以降は一切仕事を回してもらえなかったと話す。こうした「見せしめ人事」も行いながら、雇用契約を非正規教員に迫るようなことが、公立学校では横行している。

「やりたがらない仕事」を担わせる

非正規教員が、学校の中で「誰もが受けたがらないクラス」「やりたがらない仕事」を担わされるケースも少なくない。この点は再任用教員も同じで、奨学金係や教科書採択の係など、誰もが敬遠するような仕事を受け持つ再任用者は少なくない。採用時の面接で、「どんな校務でも担当できますか?」「部活動顧問はできますか?」などと聞かれた際、立場上「できません」とは答えづらいからだ。

民間では、再雇用される人にどんな仕事を担わせるかで、多くの企業が頭を悩ませている。「同一労働・同一賃金」の観点から、以前と同じ仕事を担わせるわけにはいかないからだ。ところが、公立学校は「同一」どころか「同一以上」の仕事を担わされている人も少なくない。教員は月の残業が数十時間にわたっても超過勤務が支払われないことと同様、ここでも一般社会の常識がないがしろにされている。

【東洋経済では教員の働き方に関するアンケートを実施しています】

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佐藤明彦 教育ジャーナリスト

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さとうあきひこ

1972年滋賀県生まれ。東北大学教育学部卒。大手出版社勤務を経てフリー記者に。編集プロダクション・株式会社コンテクスト代表取締役。『月刊 教員養成セミナー』(時事通信社)前編集長。教育書の企画・編集に携わりながら、教育分野の専門誌などに記事を寄稿。著書に『職業としての教師』『教育委員会が本気出したらスゴかった。 』『非正規教員の研究 「使い捨てられる教師たち」の知られざる実態』(ともに時事通信社)など

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