でもあらゆるものは動かしてナンボ。動くからこそイキイキと活躍し、それを手にした人に活力を与え、その活力がさらに別の人へと伝染していく。その活力の中に自分も身を置くことができれば、つまりはものを惜しみなく手放すことができれば、必要な時に必要なものが手に入るのだ。
そういうことを一度でも体験してしまえば、人を信じ、安心してラクに生きることができる。で、悲しいかな冷蔵庫はその体験から人を遠ざける装置と化してしまっている。
無論、冷蔵庫に悪気などない、ただ、便利さは人の欲や弱さを拡大してしまう。ゆえに、便利なものには用心してかからねばならず、ものすごく便利なものにはものすごく用心してかからねばならぬ。それが私が冷蔵庫から得た最大の教訓である。
冷蔵庫へのさらなる疑問
でもですね、このように貴重な経験に基づく熱弁をふるったところで、じゃあ私も思い切って冷蔵庫やめてみようかしら? と思う人がどれほどおられるかといえば、やっぱりほとんどいないんじゃないかと思うわけです。
だってやっぱり冷蔵庫ってものすごく便利ですから。なんだかんだ言っても、ものを腐らせず貯めておけるメリットはやはりすごいものがある。
……と、思うでしょ。
でも実は私、今やその点についても大きな疑問を持っているのであります。冷蔵庫って、本当に「ものを腐らせずに貯めておける」装置なのか? いやここを疑っちゃったらなんだか冷蔵庫に申し訳ない気がしないわけでもないが、実際、そう思うんだから仕方がない。
ま、この事実をどう受け止めるかは読んだ方にお任せするとして、世間一般の常識的生活から逸脱した暮らしを経験してみて痛感するのは、まったくゆるぎないように思える世間の「常識」ってものが、実際そこから離れてみれば、揺るぎないどころか実はまったくの根拠レスだったりするってことだ。
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