あ、あと言い忘れましたが、干すのも漬けるのも、保存することによって栄養価まで高まるというのも冷蔵庫にはない大いに優れた点である。特に漬け物は今注目の「発酵食」であることは聞いたことがある方もおられよう。
人生も食べ物も腐らせない生活の爽やかさ
ってことで、今となっては冷蔵庫が完全な「ナゾの装置」としか思えなくなっているのだが、改めて考えてみればそれも当然のことで、われら日本人は冷蔵庫のない時代を延々と生き延びて、その間にわが国の気候風土食材にあった保存方法を気の遠くなるような時間をかけて編み出してきたわけです。
となれば、そこに圧倒的合理性があるのは当然で、たかだか100年の歴史しかない冷蔵庫が太刀打ちできないのはあったりまえなのであります。
つまりはですね、現代において豊かな人生(らしきもの)を送るには大きく分けて二つの方法がありまして、その一つは圧倒的多数の人がやっているように、次々と売り出される「生活を豊かにしてくれる」「高機能な」新製品を、お金を稼いで次々と手に入れること。それはそれでいいと思いますが、その「圧」が強すぎて、もう一つの方法がすっかり忘れ去られていることが実にもったいないと思うのであります。
それは、ご先祖様が昔から積み重ねてきた知恵を受け継ぐこと。なぜかそれは「古臭く」「面倒臭い」ことのように決めつけられている昨今ですが、やってみれば驚くほど合理的でラクだったりするんである。
ってことで、結論としては、この世は閉塞感にまみれているどころか、まだまだ隙間だらけ、幸せになるための伸び代はいっぱいあるということを今の私は知っているのであります。
ということを、冷蔵庫をやめるかどうかにかかわらず、ご参考までにお伝えしておこうと思った次第。あ、ちなみにこれもよく言うことですが、もし私が「1億円あげるから冷蔵庫を使ってほしい」と言われたら、もう何の迷いもなく即座に断ります。人生も食べ物も腐らせない生活の爽やかさを手放すほどの価値のあるものなどこの世にありましょうか?
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