ただ、使ってみるとそうでもなくて、生徒から電卓機能のあるアプリが欲しいとか、手書きできるアプリが欲しいとかいろいろと要望が出てきました。それで、生徒たちが自分で調べるということが当たり前になったのです。それ以前は先生に聞くだけだったのと比べると、選択肢は大きく増えています。
現在、高校1年生の医進・サイエンスコースはChromebookを使っており、高校2年、3年の医進・サイエンスコース全員、中学校3学年全員がiPadを持っています。初年度は貸与、次年度は電子辞書と同じということで、学校からお知らせを出して各家庭で必ず買ってもらっています。
教科書より、さらに深掘りすることができる
――実際にどのような授業でIT端末が使われていますか?
主に、生物、化学、物理、数学、情報、社会、英語などで使っています。地理ではGoogle Mapを使ったり、動画を見たり。教科書に載っている情報というのは、本当に大事な部分だけなのです。iPadを用いることで、その情報をもっと掘り下げることができる。キーワードは教科書で得て、その後の深掘りはタブレットでと考えています。
高校2年の数学では反転学習を採用しています。授業ではいっさいiPadを使わず、予習や復習でiPadを使うというやり方をしています。
情報の授業では、英語で書かれた学術論文の精読をしているときに、わからない単語があればウェブで調べなさいと話しています。たとえば、「media」という単語。「培地・培養液」という意味があるのですが、電子辞書では初めのほうには出てきません。ライフサイエンスの論文であれば、京都大学が提供しているライフサイエンス辞書でその単語を用いた文などを調べてみて、初めてそのような意味があるとわかるんですね。
――ITを導入したことで生徒の何が変わりましたか?
先生に言われたからやるのではなく、自分で解決できるという意思を持って物事に取り組めるようになりました。iPad導入時に、まずスケジュール管理を生徒にさせてみたのです。最初はこちらでカレンダーに学校の行事を入れてあげました。そうしたら、ビジネスマンのように、分野ごとに色分けしていたり、カレンダー表示を月表示から週の表示に変更したりするような子までいました。宿題もto doで管理したりしています。
スケジュールもto doも、社会で必要な段取り力が養われるということだと思います。普通は先生が段取りを決めるのだと思いますが、自分で組むことをしてもらいました。子どもたちの管理のうまさには、大人も驚くと思いますよ。
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