中学受験者数トップ!広尾学園人気の理由 超人気校のIT教育はどうなっている?

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学校側が直面する課題

――iPadを導入することの課題は?

ふたつあります。まずひとつ目は、インフラの整備におカネと人が必要ということです。広尾学園では以前、校舎の建て替えのタイミングで全教室にWifi環境を整備しました。たまたま広尾学園にはITに強い人がいたので、その方が尽力して現在の状況を作り上げていますが、そういう人がいる学校というのは少ないと思います。

同時に、学校で使うということでセキュリティ面も考慮する必要があります。最初、1クラス35人なので、1教室につき50台接続できるようにアンテナが設置されたのですが、隣のクラスがiPadを使っていると使えないという事態が生じました。

また、iPad導入当時のiPad1は今やウェブを見る以外に使い道がなくなりました。つまり、ある程度の年数が経つと、タブレットを新しいものに替える必要があるということです。本当にインフラ整備のハードルが高い。私立だからできているという点は否めない事実です。

課題のふたつ目は、生徒の中にはiPadで遊んでしまって、そこから抜け出せない子どもがいるということです。ゲームの攻略サイトをずっと見てしまう生徒もいます。高校生だとまだ分別がつくのですが、中学生だと、iPadに制限をかけても携帯電話を代替物として遊んでしまうんですね。発達段階として自律する力の成長過程ですので、その期間は制限を厳しくかけないと適切な運用は難しいと言えます。これは、生徒が目的を見いだせない場合に、そのような状況になると考えています。目的があって使い始めれば、iPadは大人が想像する以上に有意義に使われ始めます。

――教育が全部ITに取って代わられるのではという議論がありますが、広尾学園ではそうしたことは起きていますか。

よく、IT導入によって生徒との直接的な対話が減ると心配する声があります。しかし、そういうことはありません。生徒たちとは、むしろ対話が増えます。なぜなら、IT導入によって今まで時間をかけていた作業から解放され、生徒も教員も直接対話する時間が作れるからです。

たとえばプレゼン資料を作る際には、まず紙に手書きでアウトラインを書くところから始めさせます。また、スライド作りはほんのスタート段階であり、そこから直接、話をして添削することがプレゼン作りであると指導しています。それで私は、「それは事実なの?」「ネットのどこに書いてあったの?」「その情報は信用できる?」と聞くのです。そうすると、生徒たちはハッとした感じになって席に戻っていきます。むしろ対話が増えているようにも思います。

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