「IT教育」が有益である、これだけの理由 今や「できることをやる」の時代ではない

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IT教育でいったい何ができるのか?(PCに映し出されているのは、クレイアニメを自ら作る子どもたちの映像)
 世界でじわじわ広まるIT教育だが、具体的にはどんなもので、メリットは何なのか? 日本において、それについていちばんクリアに答えてくれるのが、NPO法人CANVAS代表の石戸奈々子さんだろう。
 12年前にこの団体を設立し、国内外のIT教育を見てきた石戸さんにとって、IT教育の現状と未来はどう見えるのか? CANVASのオフィスで聞いた。

2日で10万人動員! 盛り上がるIT教育熱

――石戸さんはこれまで10年以上にわたりプログラミングなど、IT教育を広める活動をしてこられました。中でもワークショップコレクションは圧巻ですね。100もの講座があり、2日間で10万人の子どもたちが参加したとか。

はい、これは全国の「作って表現する」ワークショップを一同に集めたような博覧会です。年々規模を拡大していってます。ワークショップの出展者は、企業や自治体、個人のアーティストなどさまざまで、本当ににぎやかですよ。

これまでは、より多くの知識を得ることに評価の力点が置かれていました。詰め込み・暗記型がよしとされていました。そして、「正解の決まった問題」において迅速に解にたどりつくことが最優先とされてきました。画一的なものを大量に生産する工業社会では、そのような能力が求められてきたからです。

しかし、情報があふれる国際社会では、「異なる背景や多様な力を持つ子どもたちがコミュニケーションを通じて協働し、新たな価値を生み出す力」が求められます。つまり、コンピュータには決して代替できない創造力とコミュニケーション力こそが求められていると思います。

それに応じて、学びは「詰め込み・暗記型」から、「思考や創造、表現型」へ変化していかなくてはいけないのではないでしょうか。

そして、これからの新しい学びは、これまでのように学校や家庭任せにするのではなく、学校も家庭も地域も企業も行政も美術館も、みんなで協働しながらやる必要がある。そう思って始めたのがNPO法人CANVASやこのイベントです。

ワークショップコレクションは、そんなデジタル時代の新しい学びをファッションショーのようにポップに伝えられないか、という趣旨で始めました。

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